交通大戦 48

2007/12/30 09:00 交通大戦

交通戦記 7

地獄の宗教は
仏教が
圧倒的だ
キリスト教徒にとって
この世界は
あまりに正当さを欠いていたし
自分がつれていかれるであろう
セカイとのギャップに
苦しみ
自棄となり
そこまでしてまで
クリスチャンである必要など
ジツはどこにもないのではないか
と悟る
クリスチャンにとって
ここ(地獄)は
敗者の吹きだまり
絶望を、煮染めたもの
あらゆる展望が失われ
恥と
悔恨と
疑問だけがつのる地
「なぜ、俺だけが、こんな目にあうのだ?なぜ?」
ここは自分のいるべき地ではない
と感じるうちに
なにだどうだとか
どうしようもないので
考える事をやめる

仏教は希望を失うことがなく
平生から
地獄については良く知っていた
だからといって
仏教をやるやつが
早く地獄を出られる
わけでもない
ここは
悪魔が
支配する土地なのだ

女犯の僧と呼ばれていたアカガイの葬儀も
仏式でおこなわれた
とはいえ、これは簡略化されたもので
正直言って
だれにもできる
アーメンアーメンと二度となえて
ばっkというだけ
このことを
地獄で
仏式といった
アカガイは
生前は本職だったので
本格的なものを
となえて評判がよかったが
死んでしまったので、持ち回りとなり
いまは
ダイゾウという者がとなえていた
ダイゾウは
仏教にゆかりのある人間でない
ため
水を口にためて、二三度ガラガラとやって
それをブーと吹いて
トラトラヤーヤーと大きな声でどなり
霊前にいる者たちに敬礼し
全般的に顰蹙を買って
アカガイ(女犯の僧)の葬式は終わった。

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交通大戦 47

2007/12/07 22:45 交通大戦

交通戦記6

裁判所についてともだちはすぐに調子をとりもどした
驚くべきは源三の忠義ぶりで、目を覚まし茫然自失と
なっているともだちを、どうにかながめてすかして
のこりの四日程の道のりを歩いてきた
交通のものは疲れを感じることがないが
単なる亡者となると話はべつで
体が多少がたがきても歩けるが
心が折れる
だいたい
地獄に落とされるぐらいだから
性の根が腐っている
それでも、気を失う寸前で
源三はムツキの義足をすり減らし
倒れ込むように木戸を叩き
そのままきっかり14日
熱にうなされ
めをさまさなかった

ともだちはしょくぶつのようにまばたきだけする
ぬけがらから
やがて
ポツリポツリとおうむがえしに
話をするようになり
かんおけ屋と呼ばれる
男がともだちのめんどうをみさせられる
この男は、かつて
女犯の僧と言われた男だけあり
ともだちは
すぐに念仏の一つもとなえられるようになった

地獄に仏とはまさにこのことで
女犯の僧も、罪人として地獄にきたわりには
わりかたまともな話を
でくのぼうにちかいともだちに
根気よくつとめてし
おうむがえしに
仏の話をするうちに
ともだちはすっかりはなしができるようになった
死体以外
誰も話しかける相手がいなかった女犯の僧に、
おうむがえしとはいえ
素直に話を聞くともだちに
気をよくしたのがよかったか
まちがいだったのか
得々と
仏の話などしていたこの僧は
ある晩頭から炭火をかむって死んでしまった。

地獄で死んだ者は、どうなるか、誰も知らない
ただ、地獄で死んだ者が、また
地獄に帰って来た、という話は聞かない

なかには見て来たような話をする
男もいたが
そういうにんげんは
股から体を裂かれて
絶命させられ
そういうにんげんが
地獄にまた戻って来た
という話も聞かない

女犯の僧の葬儀で
ともだちはこういった話を門番たちから聞いた

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交通大戦 46

2007/12/06 22:14 交通大戦

交通戦記5

象徴的な出来事といえば
この年に「しょうべん源三」と呼ばれる亡者が
地獄の者たちの間で話題となった。
しょうべん源三とはあの人外の者とクルマの化け物の
戦いを見届けて生き延びた亡者のうちの一人
交通の亡者として堕ちて来たともだちを
おぶりながら三日ほど徒歩で地獄の中継点についたが
再三の司法官や父親の忠告も聞かずに
空腹のため
まんじゅを口にしてしまい
直後
強烈な尿意をもよおし
まんじゅうといっしょに
献上するはずだった地獄のかまどの中に
しょうべんを注ぎ込み
大騒ぎとなった
この話に尾ひれがつき
一億年のかまどが
しょうべんのつめたさで割れた
とか
股間がみっともなく
腫れ上がった
とか
話題の少ない地獄で
語り草となる。

ともだちが目をさましたのはその
直前だったが
事の顛末は
源三も
ともだちも
口をつぐんだままで
何も語ろうとはしない。
この「しょうべん源三」の話に気をよくしたかは
知らないが
裁判所もたびかさなる交通の災難と
その領地についての詳しい調査の任務を
本来ムツキがやるはずであったものを
ムツキの代わりに源三へ
そしてそのお供に
交通の者でありながら
快活に話をし達者に動き回る
ともだちに
あたえた

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交通大戦 45

2007/12/05 22:55 交通大戦

交通戦記4

これら交通の亡者に関する変化が魔界にあったのと同じころ
大量の石油が
魔界に降ってくる様になった

このことは
現世での出来事と関連がある
死んだ人間が堕ちてくる様に
死んだ物も、いくらか地獄へやってくるからだ

石油は、それまで
ごく少量
人間に
使われていた

瀝青(れきせい)アスファルト(Asphalt)は
つなぎとめるやくわりをする
のりのようなものとして扱われていた

エジプトの地にあふれた
イスラエルの子である
モーセは
迫害をまぬがれるため
生まれて間もない頃
かやつりぐさの小舟に乗せられ
その船は
水が入らないように
石油と、チャンが塗られた

出エジプト記の
第二章にも書かれている

石油は火をつけると燃え続け
水をかければ、その水をはじいて
爆発する
ギリシアの火と呼ばれた石油は
人を焼き殺し
同時に
夜をともすあかりにもなるが
それらは

降り注ぐ石油の雨と比べれば
ほとんど無いに等しい

人間が消費した物は
いくらか
地獄に堕ちてくる

地獄に
わずかながら
レンガや木の板
布があるのは
そのためである

交通の亡者 石油の雨
こういった変化すべてが
一度に起こって
人々はこんらんした

下等な悪魔
賢い亡者の中には
これが
アダムとイブ以来の
重要な事だと話したが
象徴的な事は
何も起きなかった

衝撃的だったのは
あの
司法官と、クルマの化け物との戦いだ
地獄の住人、特に亡者たちは
ここ百年で起こっている出来事の
答えをもとめていた

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交通大戦 44

2007/12/05 04:00 交通大戦

交通戦記3

実際交通の者と呼ばれる亡者はみな
交通事故により死亡した
もとは
にんげんだ

人外のものの
時間の流れは遅く
特に鉄器時代以降の
人間の変化は
おじぎ草がいちいちおじぎをするぐらい
めまぐるしいほどで
人間の 世界でいうところの 
交通
がどんなものなのか、知っているものはほとんどいない

交通の亡者には、たいていの場合、自殺者と同じで
めいかくな意志を持たないものが大半で
自殺者と異なるのは
罪の履歴が無い
のが特徴だ

たずねれば
答えるぐらいの事はするが
罪を犯したわけでもないのだから
当局は全般的にもてあまし
とりあえず
地中に埋めてみたが
数が増えたので
そこらに立たせておいた

立たせておくのも限界があり
やむなく簡易労働させるが
顔の形が変わるぐらい
殴らないと
仕事らしい仕事もしないので
殴る労力をかんがえると
自分でやったほうが早く
まるでつかいものにならない
というのが、亡者たちの言い分だった

イブが知恵の実を食べてから、人間には
知恵が備わり、つまり
未来への
欲望と恐れがうえつけられ
これが不安を呼び
人は欲望して
欲望がみたされない

不安になり、これが労働と信仰の
原動力になる。
このしくみがあれば
人間は
地獄に堕ちたって
悪魔に奉公することができる
のに
それがない交通の亡者は
地獄での半端もの
誰もが交通の亡者をもてあまし
見下した

おまけに
彼らは火をくべても
普通の亡者のように
景気良く燃える事も無い
だから燃料にもならないし
溶岩で溶かしても、水気が多く
その蒸気はなぜか、近隣の人のはだを
かゆくするためその方法もとられず
煮ても焼いても食えないとはそのとおりで
誰の味覚にも適さなかった

交通の亡者が増え始めてすぐに
これらの人間は、地獄でも辺境と呼ばれる場所に追いやられた
その場所は
混沌が住む地域に面した
地獄でも
住み心地が悪い地域である

地獄と混沌の間には川が流れていて
数万の単位で交通のものたちが
打ち捨てられていた
のが地獄の暦で数年前のこと

今ではその数が増え
地に満ち、なぜだか
力もつけ、地獄で初めての
国を作っている

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交通大戦 43

2007/11/30 07:49 交通大戦

交通戦記2

人間がある考えを規定するときに言葉だけを使うと
そこから必ず漏れ出るものが出たり、よけいなふじゅんぶつが混ざったりする
交通
と言われる事項もそうだ

どういうわけか、ある日を境にして
現世で罪を犯したとは考えられないような
無垢なにんげんが
地獄へ堕ちてくるようになってきた

一見人の良さそうな者
ひとあたりよく接し
でしゃばらず
すべてをつつみこんでくれそうな人が
そのジツ大量の使い込みをやったり
姦通を犯しまくったりすることは
地獄ではよくある

そういう人間に
亡者たちですら
騙される事はすくない

そういう人間には
独特の体臭がある

しかし、なんのにおいもない
のっぺりとした人間の数は
その日を境に徐々にふえてゆき
それまでも
何かの手違いで
ぜんりょうな男が
地獄にやってくる
ということはあったが
今回はその数がちがう

地獄の司法官たちは
はじめは無理に
理由をあてはめては
地獄での生活を行わせていたが
そのうちそれもさばききれないようになるぐらい
その人らの数は増え
地獄の地に満ちた

彼らは
自殺者(the man who killed himself)
にその風貌が似ていた
はじめのうちは、どこだか
世をはかなんだところがある
として
あたりに奉公させていたが
どうにもおさまりがつかなくなり
各地にちらばる
司法官が集まり
現状を話し合うこととなる

調査によれば
彼らは、みな、何か分からない
理由で死んだ。ということしか分からず
会議は実りのあるものとならなかったが
証言の端々に
「交通」という言葉が良く出てくることになり
彼らの共通の因子を
交通であると考えて
この、罪もなく地獄へ堕ちてくる大量の人間を
交通の者と呼ぶようになった

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交通大戦 42

2007/11/25 21:23 交通大戦

交通戦記 1

司法官とクルマの化け物の
相打ちをきっかけにして
地獄の各所で、クルマのかたまりと
魔界の住人と、その奴隷である亡者たちとの
小競り合いが
始まろうとしていた

下級のものとは言え
人外のものと対等なちからをもつ
クルマという
新しい存在に少なからず
魔界の住人たちは
動揺していた

クルマのかたまりのことも
彼らは交通の者と呼んだ
彼らの出処をたぐると
交通という名所がしっくりくると考えたからだ

とにかく交通のものと呼ばれるそんざいは
今までの地獄の流儀と
勝手が違っていた

またこれも信じられない事だが
混沌の領土のすぐちかく
大陸の一個分ほどの地域を
彼らは
交通の領土として
持っていた

長い地獄の歴史の中で
サタンと混沌、そしてサタンの孫(死)以外が
この土地に領土を持った前例は
無い
本当に短いあいだなら
たとえば数日間ほどならば
前例はある

中国大陸の王
始皇帝が
死んだ際に大量の人間を道連れにし
国をつくったし
その前は
エジプトのパロ(ファラオ)が
屈強な戦士を道ずれに
墓に入り地獄にそなえたが
三日ほどで
更地になった

しかし、今度の交通領は、すでにできて
100日を超えている
たといこれが、人外のものの手によったとしても
これほどの領地を
占めるるような事はなかったし
その必要も無かった。

得体の知れない交通の領地について
魔界の住人たちはさまざまな憶測をした

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交通大戦 41

2007/11/25 00:06 交通大戦

源三とともだち


トントントン

トントントン

ごめんくだせ

ごめん

ごめんくだ

ごめんくだせい

ごめんくだせーい

あー
「ごめんくだせい!
ごめんくだせい、
じゃねえ、
オイ
いい加減にしろ、
この疫病神!」

源三は
ともだちの首についている孔雀石をひきちぎり
頭を草履でたたいてから
石と、ともだちを
かわるがわるにらみつけた

なんだ、
これは?
なんだ
そのつら」


ともだちは、いつも
笑顔を
たやさない

「ここにくる前に女の子がくれたんだ」


女の子だあ?

このうすらとぼけがっ
俺たちの住むこの地獄がひっくりけえるか
けえらねえかってときに
なんだお前そのふぬけた石なんぞ
もらいおって
なにごとかあ!

地獄は今戦乱の世がはじまろうとしておるときに
お前は
女の子にもらった石なぞをちゃらちゃらさせながら
のんきに鼻歌なんぞ歌ってやがったな
そしてお前
俺がききこみをしているあいだ
さぼっていやがったな

フン

まあいい
とにかく、
俺たちは先を急いでるんだ

ここらの聞き込みはもういいから
このまんま
あのコントンてとこまで
向かうんだぜ
逃げたりするなよ
いいな、疫病神」

「ハイハイ」

ともだちは
にがわらいして、さきにあるきはじめた。

「しかしなあ」

源三はすこし顔をほころばせて
つづけた

「こんな大役を、まさか地獄でもおおせつかる事になるとはなー」

ともだちは
黒目をでかくして
源三のはなしに
はんのうする

源三は
きまりがわるそうに
あごのさきを
ともだちにむける

「な、なんだよ、なんなんだよ
文句があるのかよ
なんなんだよ
お前
俺が大役おおせつかったらまるでおかしいみたいな
顔をしやがって
一体なんの無礼があるってんだこの
セメント台(ともだち)」

ともだちは、目を細めたまま
べんかいを
はじめる
「いや
いま
地獄でも(the hell as well...)
とおっしゃったので
死ぬ前の記憶が
おありになるのかなと」

花崗岩でできた道にでばなをしてから、源三は
みえをきる

「あるのかねえかと問われれば
そりゃああるにきまってるさ
いいか、俺はな、さる重大なにんむのただなかで
名誉の戦死をとげた
大日本にとって
かけがえのねえ
存在なんだぞ
お前
まったくしらけた
顔してみるがよ

しかし
お前
現世の記憶のないやつなんざ
この地獄にはいないんだぜ
みんな片ちんばだが
現世のきおくってもんがあるのだ
それをお前
めずらしそうに言うのが
だいたいにおいて
疫病神だっていうんだよ
フー
いけすかねー
はすにかまえやがって
にやにやと
やにさがった
バカが
なんだって、俺あお前なんかと
たびをしなくちゃならないんだ
まったく
冗談がすぎる
できることなら
こいつはここにおいて
俺ひとりで
にんむをすいこうしたいもんだよ

お前がいる
それだけで
このむねがふさがるよ
この
大疫病神が」


マアマア
そういわないで
源三
けどね、
俺には生きてた頃の記憶ってものが
ないんだよ。
ひとつもないんだよ
だから、
うらやましいと
思うだけさ
自分にもそんな
記憶のひとつやふたつ
あったらいいなと
考えるだけさ

だから、
俺の言うことは
あまり
気にしないで


「ああ、そうか
だったら、地獄には
そういうやつもいるんだろうよ
地獄でめったにいないやつがいるなんてことは
この地獄では
珍しい事じゃない
お前だけがとくべつなんて
思わないことだ
先をいそぐぞ」

源三は義足の具合を指をいれてなおしてから、
つばをはいてまた歩き始めた

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交通大戦 40

2007/11/23 08:20 交通大戦

交通前史 8

石器時代の
その後にやってくるのは
戦乱の世の中
錫と、銅がまざりあい、より堅い金属を生み出した
青銅の時代
そこで戦争が定義され
人の生産力はつよくなり
貨幣がたんじょうし
文字がたんじょうする

その基盤の次に来た物質は
天から降り注いだ石で
今では人間のちしおとなっている
鉄(Fe)の時代

柔らかさと、堅さをあわせもち
人の心を
つつみこむ鎧

トムゼンの
時代区分にしたがえば
現代は
鉄器時代である

この時代に生まれた
協力な殺人兵器
それは戦車(チャリオット)


馬と鉄が
世界をかけめぐり
多くの人が
刺し殺され
てつのえじきとなる

これをサタンの奸計と言わずして
何を奸計と言うのか
甘い甘い、鉄の果実よ
それを可能にする、戦車という
交通手段よ

交通は
あらゆる場所にはりめぐらされ
世界の中心の王である
サタンの目となり、
耳となり
より高い金属、より弾性のある

を作るためまた
多くのヒト、モノ、カネを集める

作ったらそれの堅さやしなやかさ
うつくしさ
などを試すために
他国と戦争をし、その刃に
べっとりとちをぬる行為に及ぶ
魂の自慰行動(マスターベーション)
ちぬられた競争

その競争をおしすすめる
ための
治金の技術
この
治金を制するものは
世界を制する
者に限りなく近く
特権を持つ
といわれる

その特権により
人々には貧富の差が生まれ
その差は、雲泥の
天と地獄の差

等しい

流行病の様に
8000年が過ぎる
その
進歩は石器時代のおおらかさに比べれば
まるで、羽虫の
はばたきの瞬間をとらえるよう

治金による王の統治
錬金による、魔王の君臨

コンスタントに、罪深い死者をはじきだし
地獄に人が納品されてくる
これを見た
サタンの古くからの盟友であるところの
ベルゼバブ

「サタンしてやったり」と
地獄からサタンへ電報を打ち続けた
二人の友情はながらえたが
サタンの考えは
ベルゼバブとは違う
同じなら
サタンのたましいは
へびのような、とぐろはまかない
二重らせんを、えがくひつようはない

鉄器時代に於いて
サタンの活動はまだ終わらない
人間の進歩は
イギリスでの産業革命を呼び
人々の生活は
一変する

ルイスカロルが
不思議の国のアリスで描いたような
絶対君主
そのきまぐれで、うすっぺらなトランプの兵隊たちが処刑される
絶対君主
の名の下に、
機械文明と消費文化
時計にまで余ったバターを塗りたくり
毎日を紅茶会(ティーパーティー)とするような
季節がやってくる

物が過剰に生産され
使い切ることは決して無く
どんどんごみになっていく
都市
かと思うと
いくつか通りを隔てた場所では
ものがぜんぜんなくて
追いはぎたちがたむろし
道ばたにおちた、オレンジの種すら飢えをしのぐための食べ物にする人間たちが
同居する
都市
悪夢のような時代

この時代はまさに
鉄器時代をふまえつつ
あらぬ方向へ
人間をみちびく
交通時代
と呼ぶにふさわしい

ととのった基盤(インフラストラクチャー)
交通
のうえで、今
まさに
サタンの次の一手が
神へ
打たれようとしていた

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交通大戦 39

2007/11/21 23:49 交通大戦

交通前史 7

銅の融点は

1084度

焔のいろが 赤からやや白みがかる温度

赤いほのおは
まだ低く

銅が溶けて
流れる事は無い

悪魔にとって
1000度という
温度は
ぬるいぐらいの温度
であり

ほのお
というのは
あの太陽(フレア)の表面温度
6000度ぐらいからを
言う
地球の中心も6000度
太陽の中心は1万度ほどになり、
周辺のコロナは100万度となる
ここまでくれば
悪魔たちの皮膚も焼けただれる

これらと比べれば
胴の融点は
たいした温度ではない
むしろ
その微妙な調整こそ
難しい

サタンはまず
人間たちが作り始めた
30センチ平方程の
小さな炉
やじりをつくるために作り始めた者を
シナイ山のちかくの
谷間に集めて
神殿ほどの
巨大な炉をつくり
谷の風を利用して
火をおこし
とさかのように、その指先をひろげる
銅の原石をその炉の中に放り込んだ
銅は溶けてながれて
ぶつぶつの表面をもちながら
冷えて
まるいかたまりになった

「いいか
お前たち

俺の欲しいものは
このあかがねだ

お前たちは
これから
世界中にちらばり
この石(赤く、手のひらをひろげたような、銅鉱)を
集めてこなくてはいけない
しかし
このような、そのものずばり
なま肉のようにあかい
おんなのおさねのような
鉱石はそうやすやすとでてくるものではない

俺が持っている石はこれ
銅の原石は、偶然がなんびゃくもかさなってできた
しろもので お前たちに
やすやすと手に入れられるものではない
私はお前たちに
これをとってこいといっているのじゃない

いいか

まず
この常磐色(ときわいろ)の石、まじない師や、高貴なおんなどもが着飾る
ためにつかう
孔雀石
これを探して集めてこい

わたさないやつがいたら
首や腕ごともってこい

それから、この緑色の石がちらばった
岩石があるはずだ
黄色いものでもよい
銅は、そのありかたにより
様々に色をかえるものだ

集めたら、すべてこの炉にいれるんだ
風がおこれば
火は燃えさかる

俺が線をひいたこっちから
むこうのやつら
お前らは、良く火のでる
たきぎを集めてこい

うんともってくるんだぞ
足りなければ
よそから持ってきて
それでもたりないなら
苗木を植えて
木をそだてろ

俺がこれからやろうとすることは
なによりもまず
水と
石と
火をおこすための木がひつようだ

俺はこれから、天幕に入って気をしずめてくる
俺はこれから、あたらしいいくさの準備をするのだ
お前らは、選ばれた民だ
今いったものを
次の満月の晩までにあつめてこい

それまで
俺の天幕をあけることはゆるさんぞ

もしあけたら
あけたやつの目はつかいものにならなくなり
一生光を見ることになろうぞ」

サタンはこういって
銅が熱を伝わるより早く
天幕に入り
つぎのたたかいのための
考えをめぐらせはじめた。

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